税金・年金・社会保険まとめ

税金・年金・社会保険まとめ

税金・年金・社会保険のお金にまつわる部分について情報が多すぎて知らないことが多過ぎる上、誰も教えてくれません。「重要情報を逃さない」、「損しない」ためにも大事な情報を自分なりにまとめてみます。

マイナンバーの取得時や利用時、保管時などの注意点

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経理事務を行っている方は毎年1月は法定調書合計表の提出や償却資産税の申告などで繁忙期に入ります。その法定調書合計表に添付する支払調書に2017年以降はマイナンバー(個人番号)を記載しなければならなくなりました。

マイナンバーを回収しなければならなくなることに震撼した時から既に3年超が経ちました。今一度マイナンバーの基本ルールをまとめてみます。

 

 

取得・利用

マイナンバーは基本的に特定個人情報に該当し、通常の個人情報より厳重に管理しなければならないため、管理方法について細かく規定がされています。

まず、取得・利用についてですが、マイナンバーは法令で決められた場合にのみ取得・利用ができます。逆に言うと、法令で決められた場合のみでしか取得・利用ができないということです。法令で決められていない範囲では「取れない」、「使えない」、「渡せない」のです。

どういうことかと言うと、今後支払調書を作成する可能性があるかもしれないから事前にマイナンバーを回収しておこうとか、個人事業主は契約時の際に全員回収しておこうとかいったマイナンバーを取得しなければいけないことが確定していない段階では取得・利用してはいけないということです。

マイナンバーの取得が必要となった場合には取得義務が発生

法令で決められた場合に該当した時に取得が義務となります。努力義務ではなく、義務です。これがなかなか難しく、なぜなら企業側(支払者側)には取得義務が生じますが、個人事業主側には提出義務がないため、強制的に回収することができません。

この矛盾があるためなかなか対象者全員のマイナンバー回収は容易ではありませんが、回収義務があるため何もしない訳にもいきません。企業側には回収する努力をしなければならず、提出が拒まれたりしたらその履歴を残しておくなど、回収のため努力したことや回収を怠っていないという違反をしていない証明も記録しておかなければなりません。

保管・廃棄

個人事業主より提供してもらったマイナンバーは取得・利用したらそれで終了ではなく、特定個人情報のため厳重に保管・廃棄しなければなりません。

一度回収したら保管期間は7年間となります。ただ、7年間保管してあるからといって法令で決められた場合以外にはもちろん利用することができず、7年間経過したら番号の情報を廃棄しなければなりません。

また使う機会があるかもしれないため、念のために7年以上保管しておくことはNGです。7年を超えて保存することはできません。もし必要以上に保管していたらそれは義務違反になってしまいます。保管の必要がなくなり次第、速やかに廃棄しましょう。

安全管理

マイナンバーを扱う際には、特定個人情報であるため安全管理措置を設けなければなりません。

①組織的安全管理措置
②人的安全管理措置
③物理的安全管理措置
④技術的安全管理措置

などいろいろとありますが、具体的には取扱規程の策定や、マイナンバーを扱う際にはセキュリティがかかった部屋で専用のPCを使用、取扱担当者の監督・教育など様々な措置を講じなければなりません。

罰則は最大4年以下の懲役 or 200万円以下の罰金

マイナンバーの漏洩は、個人情報の中でも重要性が高いものであるため、罰則は重くなっています。また、漏洩は故意であっても偶発的なものであってもクライアントやお客様から信用を無くしてしまうリスクもあり、営業にダメージを被るので、漏洩は間違ってもしないような環境整備、担当者教育の整備は必須です。

売上と雑収入の違い

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経理上、収入が発生した場合には「売上」や「雑収入」などの収入を表す科目で仕訳計上します。

毎年同じような収入であれば、過去の例に倣って同じ科目で処理すれば良いですが、突発的に収入があった場合には、売上に計上すべきか雑収入などの別科目で計上すべきか悩まれるケースも少なくないと思います。

ここでは収入に焦点をあてて、収入があった際にどのような科目を使って仕訳を計上すべきかをまとめます。

売上と営業外収益・特別利益

まず、損益計算書上、収入を表す項目が売上・営業外収益・特別利益の3つの区分に分類されています。

仕訳を計上する際には、収入の種類によってどこの区分に属するかを判断することが重要になります。

では、それぞれの定義を見比べてみます。

売上

売上とは、「企業の主たる営業活動から得られる収入」です。小売業であれば商品を販売して得た収入が売上とされ、サービス業であればサービスの対価として得られた収入が売上とされます。

クライアントやお客様から得られた収入は全て売上と考えられがちですが、その中でも「主たる営業活動=本業」から得られた収入しか売上として計上できないのです。

営業外収益

営業外収益とは、その言葉通り営業外、すなわち本業以外によって得られる収入です。

具体的には、利息や配当、家賃収入や有価証券売却益などがあります。

特別利益

特別利益とは、本業外によって得られた収入の内、企業にとって通常定常的に発生するとは考えられない臨時的な収入をいいます。

具体的には、関係会社株式売却益、固定資産売却益、被災によって生じた保険金収入、訴訟によって生じた賠償金や和解金などがありますが、臨時的なものであるため上記以外にも様々な場合が考えられます。

売上と営業外収益の違いは?

売上は本業によって得られた収入であるのに対し、営業外収益は本業以外によって得られた収入のため、収入の理由によって判断します。

本業かどうかの判断は、基本的には定款に記載されている事業内容に該当するかどうかで判断するとされています。

定款に記載されている事業内容に付随する場合も売上に計上されます。

営業外収益と特別利益の違いは?

営業外収益と特別利益の違いは本業以外によって生じる収入がある程度定期的に発生するものなのか、臨時で発生するものなのかどうかで判断されます。

例えば、利息や配当、不動産の賃貸などは毎年発生するものなので営業外収益に該当するのに対し、子会社などの株の売却、不動産の売却、被災によって生じた保険金収入などはその期にしか発生が予想されないものなので特別利益に該当します。

ただし、どの場合が臨時に該当するかははっきりとした規定がなく、企業規模によっても判断基準が異なるため、社内での検討が必要になります。

なお、少額のものの場合には、営業外収入とするケースが多いです。

何でも売上に計上するのはNG

臨時の収入があったときに、売上に計上したいという声をよく聞きます。損益計算書上、売上や粗利、営業利益が多く見えるためです。

しかし、上記のようにしっかりと区分分けされているので、いつもと違う収入が発生した場合には、どこの区分に含めるか収入毎に検討しなければなりません。

税効果会計の基本的な考え方

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税効果会計とは、会計上の利益に見合った税金費用が計上されるように、「企業会計」と「税務会計」の違い(ズレ)を調整し、適切に期間配分する手続きをいいます。

 

税効果を適用していない場合(税率40%とする。)

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上記の税金の額480円は税務上の税金計算を終えて実際の税金額を計上するものであるため、税効果を適用していない上記の場合、税引前利益600円に対して税金が480円となり、税率を40%を超えた80%が計上されているように見えてしまいます。

これでは、企業会計上、利益に見合わない税額が計上されているように見えてしまい、適正な期間損益ができていない状態です。

税効果を適用した場合

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税効果を適用した場合には適用しない場合と違って、企業会計上の税金の表示が480円‐240円=240円となり、税引前利益の40%となるため、適正な期間損益計算ができていることになります。

そもそもなぜズレが生じるのか

企業会計は、適正な期間損益の把握のため、上記でいうと賞与は支払った月のみではなく賞与計算対象期間に賞与引当金繰入として費用計上すべきです。

しかし、一方で、税務会計上は、債務が確定していない引当などの見積額は損金に含めないとされています。見積額だと会社によって異なる場合があり、公平・公正な課税ができなくなってしまうためです。

 そこで、その計算方法が異なるものを調整し、期間配分することで会計と税務を合理的に対応させるために税効果会計が適用されます。

どんな調整仕訳が必要か

上記の場合、賞与引当金繰入600円が企業会計では反映されているが、税金の計算では反映されません。(損金不算入といいます。)

そのため、税務上、その分の下記のような調整が必要になります。

【税効果反映前】

①会計(税金計算前)

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②税務

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③会計(税金計算後)

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 ※税引後利益が税引前利益の20%と少なくなってしまって適正な利益が見えにくくなってしまいます。それは将来減額されるべき税金も今期の税金に反映されてしまっているためです。

【税効果反映後】

③会計(税金計算後)

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 ※税引後利益が税引前利益の60%となって適正な数値となります。

【調整額の考え方及び計算方法】

上記の場合、会計上は賞与引当金繰入600円を費用計上していますが、税務上は損金として認められません。しかし、税務上今期は損金として認められませんが、今後、賞与の支払いが行われたら損金として認められることになります。

従いまして、今期は損金として認められないためその分の税金を支払うことになりますが、将来、賞与を支払った時には税金が安くなる権利と有することになります。これを将来減算一時差異といいます。

なお、将来安くなる権利は資産なので会計上は「繰延税金資産」で計上します。

※仕訳(600円(賞与引当金繰入分)×40%)

繰延税金資産」240 / 「法人税等調整額」240

一時差異と永久差異

上記の説明は、あくまで基本的な税効果会計の考えです。

他にも賞与引当金以外の項目の場合はどうするか、回収可能性はあるか、賞与引当金繰入のような一時差異ではなく永久差異(交際費や受取配当金など)はどうするかなど他にも応用的なことがありますが、まずは上記の基本的な考えを理解するのが全体を把握する近道だと思います。

日当とは?通常いくらくらい?

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出張に行った際に支給される日当。

この日当ってどんなものなのか何となくはわかるけど、どんな仕組みから支給されているのでしょうか。

また、一般的に1日当たりどのくらいが相場なのか、会社・従業員にとってどんなメリットがあるのかなど、様々な疑問点を下記にまとめてみます。

 

 

日当とは

「日当」とは、一般的に「出張に行った際につく手当みたいなもの」というイメージがあると思います。

ほとんどそのイメージ通りで、更に細かく簡単な言葉で言うと、「ある一定距離以上の出張に行った際には出張先で諸経費がかかってしまうため、本来は全て経費精算すればよいのですが、それをいちいち全て経費精算するのは出張者も経理事務も膨大な手間がかかるため、一定の金額を支給することとしたもの」です。

出張先での諸経費とは、通常会社にいたらかからなかったはずの携帯通話代、至急必要になったコピー代や消耗品などの雑費、細かな交通費、宿泊の場合の外食代などが該当します。

上記のことから「日当」とは、手当というよりかは「経費精算の概算精算」という意味合いが強いと考えられます。

 

日当っていくらくらいが妥当な金額か

この話をする前に前提条件として、一般的な日当は、給与や残業手当などとは違って所得税はかかりません。日当は、出張で通常必要と考えられている範囲内で1日当たりの金額を会社毎に決めているためです。この通常必要と考えられている範囲内である限り、日当は所得税の対象外となります。

では、この通常必要と考えられている範囲内というのはいくらくらいまでなのか。これには税法などにはっきりと金額の記載がないため答えはありません。金額を決定する際には、税理士及び経営陣と相談して金額の着地点を探っていくことになります。

金額の具体例を挙げるとすると、1日当たりの日当額が、

一般社員:1,500~3,000円

役員:3,000円~5,000円

程度だと合理的な範囲内ととらえる会社が多いのか、よく見受けられます。

更に、日帰りと宿泊、短期と長期、近距離、遠距離、海外などで変動するように設定している会社も多くあるようです。

但し、従業者と役員で差が大き過ぎると日当が認められなくなる場合があるので、ある程度の差までは問題ないですが、役員だからといって過度な優遇は避けるべきでしょう。

 

日当を支給するために準備すること

日当を支給するにも事前に準備しておかないことがあります。出張旅費規程の作成です。この出張旅費規程に基づいて支給される場合のみ所得税の対象外とすることができるため、日当を支給する前に必ず作成しておきましょう。

出張旅費規程の具体的な書き方などはインターネットにもひな形が多く公開されているのでここでの説明は省きますが、

①役員・従業者全ての社員が対象

②出張報告書を出すこと

上記2点は明記しておくべきでしょう。

①は、役員のみの場合だと役員のみの優遇とみなされるため、おそらく税務上認められません。日当が経費で落とせるのは全社員対象にした場合のみです。

②は、日当を支給するための根拠がないとこれも税務調査で認められない恐れが発生してしまうため、「いつ」・「どこに」・「何のために」出張したかの記録を残しておくために必要と考えられます。

 

経理処理

日当を支給した場合の経理処理上の勘定科目は、出張費と同様「旅費交通費」など出張費として計上する科目で問題ありません。所得税の課税対象外のため「給料手当」や「賃金手当」ではありません。
なお、日当は課税仕入れとして認められているため、消費税は「課税」として処理します。なお、海外に出張した場合は、課税仕入れにはならないため「不課税」です。

 

事業所税の対象と計算方法

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事業所税とは地方税の一種で、都市環境の整備及び改善に関する事業の費用に充てるため、市内に所在する事業所等が行う事業に対して課される税金です。

 

 

事業所税の課税団体

事業所税地方税であるため地方自治体が課税団体ですが、現在のところ指定都市や人口30万人以上の市などであり、一定規模の都市を有する地区のみで課税される税金となっております。

課税対象

課税対象は「事業所(事務所)等で行われる事業」であってその事業所等は自己保有か賃貸かは問いません。即ち、事業所税の課税地区で仕事をするのに事業所を有する場合には課される税金であるため、下記で説明する免税対象でない限りは課税対象となります。

納税義務者

納税義務者は「事業所(事務所)等において事業を行う法人又は個人」となっており、法人・個人問わず納税義務が発生します。 

課税標準(資産割・従業者割)

事業所税は、事業所床面積を課税標準として課する「資産割」と、従業者の給与総額を課税標準として課する「従業者割」の二種類によって構成されている税金です。

資産割・従業者割の税額と免税点

【資産割】

(税額)

 事業所延床面積(㎡)×600円

(免税点)

地区内合計延床面積(非課税部分を除く)が1,000㎡以下

【従業者割】

(税額)

課税期間中に従業者に支払われた給与総額

(免税点)

地区内合計従業者数(非課税に係るものを除く)が100人以下

上記のように全国の大都市に多く事業所を構えている大企業には、その課税対象の地区毎に課税標準の資産割・従業者割の集計・計算・申告・納税をしなければならないので手間と負担がかかるということになります。

ただ、集計・計算方法については、どこの地方自治体の事業所税の手引きもこのような事が書かれており、個人的に事業所税の手引きはどの税金よりも分かりやすく具体例も多く記載されているので、詳細はやはり手引きを参考にするのがよいでしょう。

ただし、それでも注意しなければならないことも多々あるため、応用的なものと注意点などを下記にまとめます。

事業所税の注意点

実質課税

事業所税は建物(事業所)を誰が保有しているかではなく、その建物を実質誰だ使用しているかで判断されるため、賃貸やテナントだとしてもその場所で事業を行っている法人または個人に納税義務が発生します。

みなし共同事業

みなし共同事業については、みなし共同事業に該当するかの判断が難しいため、地方自治体のHPにも「『みなし共同事業』に係る事業所税について」など手引き同様、詳細に考え方等が記載されているのでとても参考になります。

簡単な考え方としては、親族などの個人又は同族会社に該当する特殊関係者を有していて、その特殊関係者と同一家屋で事業を行っている場合には、共同事業とみなされて連帯して納税義務を負うことになります。

〈パターン①〉

親会社A社(床面積700㎡)と100%子会社B社(床面積500㎡)が同一家屋で事業を行っている場合、 A社が「特殊関係者を有するもの」となって、B社が「特殊関係者」に該当します。

(A社の事業所税)

A社の免税点の判定は700㎡+500㎡=1,200㎡となるため、課税対象となります。

但し、課税標準は700㎡となります。

(B社の事業所税)

B社はB社のみで判定するため、500㎡で免税点以下となり、課税対象外です。

(パターン②)

親会社C社(床面積700㎡)と100%子会社D社(床面積600㎡)と100%子会社E社(床面積500㎡)が同一家屋で事業を行っている場合、 親会社が「特殊関係者(D社・E社)を有するもの」となって、D社も「特殊関係者(E社)を有するもの」となり、さらにE社も「特殊関係者(D社)を有するもの」に該当することとなります。

(C社の事業所税)

C社の免税点の判定は700㎡+600㎡+500㎡=1,800㎡となるため、課税対象となります。

但し、課税標準は700㎡となります。

(D社の事業所税)

D社の免税点の判定は600㎡+500㎡=1,100㎡となるため、課税対象となります。

但し、課税標準は600㎡となります。

(E社の事業所税)

E社の免税点の判定は500㎡+600㎡=1,100㎡となるため、課税対象となります。

但し、課税標準は500㎡となります。

税制非適格ストック・オプション

従業者割にはどこまで含めればよいのかは事業所税の手引きから「所得税法上の取扱い上課税とされる給与・賞与・手当」が従業者割の集計対象となり、所得税法上の取扱い上非課税とされる退職金・年金等は集計対象外となります。

そのことから1つ例をあげると、税制適格ストック・オプションと税制非適格ストック・オプションの場合、事業所税だけを考えると税制非適格ストック・オプションのみ事業所税課税標準集計対象となります。その理由は税制適格ストック・オプションについては、給与所得に該当するものがなく全て譲渡所得になりますが、税制非適格ストックオプションについては、譲渡所得だけでなく給与所得も発生するため、その給与所得部分について事業所税の計算対象となります。

 

給与所得に該当するかどうかで判断

事業所税課税標準(従業者割)を集計していると、含めるものか含めないものか判断に悩むパターンもあると思いますが、上記のストック・オプションの考え方のように給与所得に該当するかどうかで判断することができます。 

免税点

 【資産割】

該当地区の事業所床面積の合計が1,000㎡以下である場合には課税になりません。

【従業者割】

 該当地区の合計従業者数が100人以下である場合には課税になりません。

免税点以下となる場合でも申告が必要な場合

①前課税標準の算定期間について納付すべき税額があった場合

②事業所床面積の合計が800㎡を超える場合もしくは従業者数の合計が80人を超える場合

上記①・②のどちらかを満たす場合には納税はなくても申告のみ必要となります。

非課税

【資産割】

非課税とされる施設は病院、学校、水道やガスなどのインフラ事業施設、社会福祉施設など多々あり対象施設は多くあり、事業所税の手引きにも具体的な施設名や詳細が掲載されているため、参考するのがよいでしょう。

また、施設自体の他に福利厚生施設も非課税となる部分があります。業務とは関係なく従業員が利用するための福利厚生施設が非課税に該当します。

こちらも手引きに掲載されておりますが、よくあるものでいえば保養所、食堂、休憩室などが該当し、この部分については、延床面積から非課税部分を控除してよいこととされています。

 【従業者割】

・65歳以上(役員を除く)

障がい者(役員を除く)

・雇用改善助成対象者(55歳~65歳未満で雇用保険法等の国の助成の対象となっている者)

 役員を除く65歳以上及び障がい者については、従業者の人数に含めず、課税標準の給与総額にも含めませんが、雇用改善助成対象者については、従業者の人数に含めて、課税標準の給与総額にはその者の2分の1のみ含めないこととなっています。

その他、非課税とは関係ありませんが、出向社員やパートタイマーなどについて、人数・給与総額に含めるかどうかも「事業所税の手引き」で確認できます。

テナントの共有部分について

商業ビル・オフィスビルなどテナントに入っている場合、賃貸している床面積の他にビルのエントランス部分やエレベーター、共有ラウンジなど様々な共有部分があります。

この部分についてもテナント入居の事業を営んでいるそれぞれの法人・個人が事業所税納税の対象となります。

ただ、この共有部分の計算については、かなり煩雑なため、テナントの貸主に計算を依頼しましょう。商業ビル・オフィスビルの場合、オーナー側も必要な対応と認知されている場合が多いため、計算に時間は要するかもしれませんが、依頼すると応じてくれます。

計算方法は【共用部分の床面積】×【当該事業者の専用部分の床面積】÷【その他専用部分の床面積合計】です。

個人の方に報酬を支払う際に差し引く源泉徴収

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個人の方に講演や原稿執筆を依頼した場合に対価として支払う報酬については源泉徴収を差し引かなければなりません。

この源泉徴収を差し引いてその差し引いた税金部分を期日までに納税しないと加算税・延滞税を課されることになるので注意が必要です。

この源泉徴収制度については、税額の計算自体は難しくないのですが源泉徴収すべき対象者かどうかの判断が難しいので、下記にまとめてみます。

なお、このページでは給与として支払われる分は除き、業務委託や外注として発生する報酬部分のみの記述とします。

 

 

源泉徴収の対象者

報酬が発生した場合に源泉徴収が必要になるのは個人に支払う報酬のみであるため、法人の場合には考える必要がありません。

では、個人相手に報酬を支払う場合には全て源泉徴収して支払いすべきであるかというと、そうではありません。個人の中にも相手や報酬の内容によってその都度判断が必要になります。

では、どのような個人の場合に源泉徴収が必要になるのでしょうか。

一般的には国税庁のHPに掲載されている「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」でまとめられています。

しかし、ここに載っているものは「○○など」と記載されているため代表的なもののみの例示列挙であって限定列挙ではありません。例えばカメラマンへの報酬やデザイン料、講師料、出演料など様々なケースがあります。

上記のように個人に報酬を支払う場合には国税庁のHP具体的に掲載されていない場合でも源泉徴収しなければならない場合がありますので、個人相手に報酬・料金等を支払う場合には必ず手を止めて源泉徴収が必要か確認しましょう。

 

請求書には徴収すべき源泉税額が記載されていないことの方が多い 

なお、請求書処理をしていると「源泉税額○○円を差し引いて払って下さい」と記載されている請求書を見ることがあるかと思いますが、この場合は対象者か念のため確認するくらいでよいので助かるのですが、このように丁寧に記載されている請求書の方が稀です。ほとんど税理士や社労士、司法書士などの士業の方々ばかりです。

講演や原稿などの報酬に関する個人の方からの請求書には基本的に源泉徴収が記載されていないので、自身で「対象者かどうか」、「いくら差し引くか」を確認しましょう。

どの会社も個人に対する報酬の支払いがある場合には必ず悩む部分なので、税理士はこの点についてかなり経験が豊富なため悩んだら相談してみましょう。

但し、個人の方は源泉徴収などは気にしない、知らない場合も少なからずあるので実際に報酬を支払う前に事前に法律で決まっているので差し引く旨の連絡をしておいた方がトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

 

源泉徴収税額の計算

対象者の判断は難しいかもしれませんが、税額の計算は比較的に簡単です。

 

①税抜報酬額が100万円以下の場合

源泉徴収税額=税抜報酬額×10.21%

 

②税抜報酬額が100万円を超える場合は下記の合算金額

(100万円までの部分)

100万円×10.21%

(100万円を超えた部分)

その超えた金額×20.42%

 

②の計算例

(例.税抜報酬額が150万円の場合)

(150万円-100万円)×20.42%+102,100円=204,200円

 

上記のように100万円を越えた場合にその越えた部分の税率に注意すればよいだけなので、そこまで難しくはないかと思います。

 

1点だけ注意が必要だとすれば、上記の計算により消費税の端数が生じた場合には、税金部分が切捨になりますので、その点注意が必要です。

 

また、司法書士等への支払いの場合には、税抜報酬額から1万円差し引いた上で計算することになっています。

(参考:司法書士等に支払う報酬・料金)

 

報酬額の金額に注意

ただし、税率は2種類しかないので簡単かもしれませんがその税率を乗じる報酬額の集計には注意が必要です。ただ単純に報酬部分に税率をかければいいわけではないためです。

例えば、遠方で講演をしてもらう場合にかかる交通費や食事、宿泊代などの費用や原稿執筆のためにかかる取材費やそのための消耗品購入などの諸費用もその報酬額に含めなければならないケースがあります。

基本的に領収書など根拠がある実費部分のみを個人の方にお支払いする場合には、支払内容が報酬ではないことから源泉徴収をしなくてよいですが、「大体これくらいだろう」と車代で3万円、取材料で5万円など実際にかかった金額ではなく色をつけて渡す場合は報酬の一部としてとらえられてしまうので、源泉徴収の対象となってしまいます。

請求書には報酬部分と明確に分けられていたとしても実費部分ではないものを支払う前には源泉徴収が必要かどうか検討が必要です。

 

少額減価償却資産とは?有利選択は可能?

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このページでは、少額減価償却資産についてまとめます。

少額減価償却資産として計上する場合、どの資産を少額減価償却資産から計上すべきか悩まれる方もいるかと思いますので、私見にはなりますが、その判断基準も書いてみようと思います。

 

 

少額減価償却資産とは

少額減価償却資産とは、1単位あたりの単価が20万円以上30万円未満のものが一括経費計上できる制度で、この制度が適用できる法人は資本金が1億円以下で大会社の子会社でない法人が適用の対象となります。

なお、この制度の適用上限は税抜300万円未満までとなっています。

 

償却資産税の対象であることに注意

会計上は経費計上するため固定資産台帳には掲載されませんが、償却資産税の課税対象であることに注意が必要です。

この少額減価償却資産の制度は国税である法人税の制度ですが、償却資産税は地方税であるためこの制度の対象外となります。

従って、資産計上のものだけを償却資産税申告書に記載してしまいがちですが、費用計上しているものでもこの少額減価償却資産制度の適用対象であれば、償却資産税申告書に記載することを忘れないように注意しましょう。

 

少額減価償却資産はどれから優先すべきか

上記で記したように1単位あたりの単価が20万円以上30万円未満のものが資本金1億円以下の会社の場合に適用できますが、年間で300万円未満までと決められています。

少額減価償却資産に計上できる1単位あたり税抜20万円以上30万円未満のものがあまりなくて総額が上限の300万円未満であれば文句なしに全てを少額減価償却資産にすればよいですが、300万円基準を越える場合にはどの分を少額減価償却資産にすればよいか判断に困ることがあります。

そんな時は下記の考え方が参考になるかもしれません。

 

耐用年数が長いものから優先

税務上は損金計上を早くしたほうが税金的には得すると言われています。法人税率が年々下がる傾向にあるからです。

耐用年数15年のものと耐用年数4年のものでは耐用年数が長い15年の方が全額を損金計上するのに時間を要するため、15年のものから少額減価償却資産とした方が節税に繋がります。

 

取得が遅いものを選択

3月決算の場合、全く同じ金額の資産を取得した場合に4月に取得したものと12月に取得した資産のどちらかしか少額減価償却資産に計上できない場合には、12月に取得した分を優先して少額減価償却資産に計上した方が得になります。

理由は、減価償却費がもし12月取得分を通常の固定資産とした場合には4ヶ月分しかその期に減価償却費は計上できませんが、4月取得分を固定資産とした場合には12ヶ月分を減価償却費として計上できるためです。

上記同様、損金計上を早くする節税方法です。

 

期末に修正するのも1つの方法

会計的にはあまり好ましくはない方法かもしれませんが、この制度を適用できる会社は税務を優先して考える会社が多いと思いますので、記載します。

税務的に総額300万円未満までということは300万円ギリギリに近い金額で、なお、上記のように耐用年数が長いものを選択しないとせっかくのこの制度ももったいないです。

そのためには、一旦帳簿上で少額減価償却資産に該当させるか判断した上で費用計上したものや資産計上したものも期末時点で再度検討してみましょう。

より節税に繋がる可能性がある場合には監査法人・税理士等に確認して修正仕訳を計上して再度有利選択してみましょう。