税金・年金・社会保険まとめ

税金・年金・社会保険まとめ

税金・年金・社会保険のお金にまつわる部分について情報が多すぎて知らないことが多過ぎる上、誰も教えてくれません。「重要情報を逃さない」、「損しない」ためにも大事な情報を自分なりにまとめてみます。

税効果会計の基本的な考え方

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税効果会計とは、会計上の利益に見合った税金費用が計上されるように、「企業会計」と「税務会計」の違い(ズレ)を調整し、適切に期間配分する手続きをいいます。

 

税効果を適用していない場合(税率40%とする。)

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上記の税金の額480円は税務上の税金計算を終えて実際の税金額を計上するものであるため、税効果を適用していない上記の場合、税引前利益600円に対して税金が480円となり、税率を40%を超えた80%が計上されているように見えてしまいます。

これでは、企業会計上、利益に見合わない税額が計上されているように見えてしまい、適正な期間損益ができていない状態です。

税効果を適用した場合

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税効果を適用した場合には適用しない場合と違って、企業会計上の税金の表示が480円‐240円=240円となり、税引前利益の40%となるため、適正な期間損益計算ができていることになります。

そもそもなぜズレが生じるのか

企業会計は、適正な期間損益の把握のため、上記でいうと賞与は支払った月のみではなく賞与計算対象期間に賞与引当金繰入として費用計上すべきです。

しかし、一方で、税務会計上は、債務が確定していない引当などの見積額は損金に含めないとされています。見積額だと会社によって異なる場合があり、公平・公正な課税ができなくなってしまうためです。

 そこで、その計算方法が異なるものを調整し、期間配分することで会計と税務を合理的に対応させるために税効果会計が適用されます。

どんな調整仕訳が必要か

上記の場合、賞与引当金繰入600円が企業会計では反映されているが、税金の計算では反映されません。(損金不算入といいます。)

そのため、税務上、その分の下記のような調整が必要になります。

【税効果反映前】

①会計(税金計算前)

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②税務

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③会計(税金計算後)

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 ※税引後利益が税引前利益の20%と少なくなってしまって適正な利益が見えにくくなってしまいます。それは将来減額されるべき税金も今期の税金に反映されてしまっているためです。

【税効果反映後】

③会計(税金計算後)

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 ※税引後利益が税引前利益の60%となって適正な数値となります。

【調整額の考え方及び計算方法】

上記の場合、会計上は賞与引当金繰入600円を費用計上していますが、税務上は損金として認められません。しかし、税務上今期は損金として認められませんが、今後、賞与の支払いが行われたら損金として認められることになります。

従いまして、今期は損金として認められないためその分の税金を支払うことになりますが、将来、賞与を支払った時には税金が安くなる権利と有することになります。これを将来減算一時差異といいます。

なお、将来安くなる権利は資産なので会計上は「繰延税金資産」で計上します。

※仕訳(600円(賞与引当金繰入分)×40%)

繰延税金資産」240 / 「法人税等調整額」240

一時差異と永久差異

上記の説明は、あくまで基本的な税効果会計の考えです。

他にも賞与引当金以外の項目の場合はどうするか、回収可能性はあるか、賞与引当金繰入のような一時差異ではなく永久差異(交際費や受取配当金など)はどうするかなど他にも応用的なことがありますが、まずは上記の基本的な考えを理解するのが全体を把握する近道だと思います。