税金・年金・社会保険まとめ

税金・年金・社会保険まとめ

税金・年金・社会保険のお金にまつわる部分について情報が多すぎて知らないことが多過ぎる上、誰も教えてくれません。「重要情報を逃さない」、「損しない」ためにも大事な情報を自分なりにまとめてみます。

資本金1億円以下へ減資した場合の節税内容

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法人で節税をしようと思った場合にどのような節税方法があるのでしょうか?

まず、前提として、節税の方法について国税庁HPには具体的な方法が掲載されていないため、顧問税理士に聞いたり、専門書を読むなど自ら動かないと節税は実現されません。

基本的に税金は納めることについては国税庁より全て案内が出されますが、節税のメリットを享受する方法はわざわざ教えてくれないためです。

この記事では、まず節税対策の1つとされる「減資」についてまとめます。いわゆる「資本金1億円の壁」を利用した節税と言われているものです。

 

 

資本金の額が1億円超か1億円以下か

法人税など税金を計算するにあたって、資本金の額が税額計算に大きく関わってきます。

資本金1億円超の場合には法人税法上の大企業に該当するため、原則通りの税金計算をしなければなりませんが、資本金が1億円以下の場合には、法人税法上の中小企業に該当するため、様々な優遇を受けることができます。

 

資本金1億円以下の場合に優遇を受けることができる内容

資本金1億円以下の会社は、様々な税金の優遇処置を受けることができます。具体的な内容は下記などがあります。

 

年800万円以下の所得に対して軽減税率を受けることができる(800万円を超える部分については大企業と同じ税率となります。)

 

外形標準課税対象外

⇒法人事業税の一種で、所得(利益)とは関係なく会社の規模(資本金の額、従業員数、事業所面積)などに応じて決まる税金が納税対象外となります。

 

交際費800万円まで損金算入可能

 ⇒交際費は原則損金不算入で接待飲食費の50%部分しか法人税計算上の損金として認められませんが、資本金1億円以下の中小企業は交際費800万円を損金とすることができるため、「接待飲食費の50%」と「800万円」の有利選択が可能です。

 

均等割の金額が下がる

⇒法人住民税の均等割の計算は、従業員数と資本金の額で異なります。資本金が1億円以下である場合には、資本金1億円超よりも優遇を受けることができます。

 (参考:均等割額の計算に関する明細書(東京都))

 

特定同族会社の留保金課税免除

 オーナー会社など親族が株式の過半数を所有する会社には、社長など個人の所得税を抑えるために配当金額を抑えて社内に留保する可能性があるため、その留保部分にかかる税金が免除されます。

 

欠損金の繰戻し還付

今期が赤字だった場合には、前期に納税した税金の還付を受けることができます。

 

30万円未満少額減価償却資産が年間300万円まで損金算入可能

 通常は1単位当たり20万円を超えるものについては費用計上(損金算入)することができず資産計上となりますが、資本金1億円以下の会社については1単位当たり20万円以上30万円未満のものについては年間300万円まで損金算入することができます。

 (※償却資産税は原則通りかかります。)

 

 減資の手続き

減資は会社の資本金額を減らすため、株主保護・債権者保護の観点から手続きが定められています。

 

株主保護

株主総会の決議が必要となります。普通決議か特別決議かは減資の内容によって異なるため税理士に相談してみましょう。

 

債権者保護

株主だけでなく債権者にも異議を申し立てる機会を与えるためにも官報への公告及び主な債権者への個別催告が必要となります。

 

登記

上記2点が終わって資本金の額現象の効力発生日から2週間以内に行います。

固定資産の取得価額に含める付随費用

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会社経理で固定資産の処理をしていると、必ず頭を悩ます処理の1つが取得価額の算定です。

 

固定資産を購入した場合に、その資産のその購入価格分だけを計上できればよいのですが、現実にはそうはいかず、送料、設置料、不動産取得税、自動車取得税、登記費用、関税など固定資産の取得に要した経費についても取得価額に含めるか含めないのかを検討しなければなりません。

 

では、どのような考え方で取得価額を算定していけばよいのか下記にまとめてみます。

なお、今回は自社開発の固定資産を除き、外部から購入してきた固定資産の場合に限ります。

 

 

固定資産計上か費用計上の判断基準

まず固定資産の取得価額の決定には、税法上の大企業に該当する資本金1億円以上の会社の場合には、1個または1組の取得価額が税抜20万円以上が固定資産に計上する対象となるため、付随費用を含めた金額が20万円を超えるものを固定資産に計上します。

(付随費用を含めた税抜単価が10万円以上20万円未満の場合は、一括償却資産となります。)

 

固定資産の取得価額の算定方法

固定資産を購入した場合の取得原価は、「購入代金+付随費用-値引・割戻」で算定されます。

固定資産の取得価額には、引取費用等の付随費用を含めるとされていますが、ではどのような費用が付随費用に該当し、どのような費用が付随費用に該当しないのでしょうか?

一つ注意点としては、「付随費用に含めなければならないもの」と「付随費用に含めなくてもよいもの」という表現が使われています。

このことから、付随費用に含めなければならないものを付随費用に含めずに経費処理したら国税調査で指摘を受けてしまいますが、付随費用に含めなくてよいものを付随費用に含めた場合には国税調査では何も指摘されません。(国税調査では、納税すべきものを納税していないと指摘してきますが、納税しなくてもよいものを納税した場合には基本的にはスルーしてきます。)

従って、どちらか判断がつかない場合には、付随費用に含めておいた方が保守的にはなりますので、頭の片隅に入れておいて頂ければと思います。

 

固定資産の取得価額に含めなければならないもの

固定資産の取得価額に含めなければならない付随費用には一例ですが、下記のものがあります。

・購入のための費用(引取運賃、荷役費、関税、運送保険料、購入手数料等)

・不動産業者などに支払う仲介手数料

・土地、建物の取得に際して支払う立退料

・土地、建物の取得に際して支払う固定資産税相当額(未経過固定資産税等に相当する額)

・土地と共に取得した建物等の取壊費用

・宅地開発等に際し支出する開発負担金

(※上記は一例のため、付随費用に関してはその費用の名称に拘らず取得の実態に基づいて取得減価に算入するかどうか判断が必要となります。)

 

固定資産の取得価額に含めなくてよいもの

固定資産の取得価額に含めなくてよいものは代表的なものでいうと下記などが該当します。

・不動産取得税

自動車取得税

・登録免許税その他登記又は登録のために要する費用

司法書士への登記報酬料 etc.

 

その他、詳細な固定資産の取得価額に含むかどうかの付随費用については、国税庁HPの第3節 固定資産の取得価額等 第1款 固定資産の取得価額減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用参照してみて下さい。

外形標準課税とは

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外形標準課税とは大きく「所得割」・「付加価値割」・「資本割」から構成されている事業税の一種で、所得にかかる「所得割」部分以外の、事業の規模を表す給与や資本にかかる「付加価値割」・「資本割」部分の税金です。

上記のように、外形標準課税は税額の計算に所得(利益)は関係ないため、赤字の会社でも支払わなければなりません。

 

 

 外形標準課税の計算基礎

外形標準課税は、「外形所得課税⇔所得課税」と言われているように、所得課税が所得(利益)に対して課される税金に対して、外形所得課税は事業の規模・活動量を基に算出される税金になります。

そもそも事業税は「企業がその活動を行うに当たって受ける公共・行政サービス(道路・ごみ処理・防災・教育・警察・消防・その他インフラ等)を受けることから、それらのサービス対価として支払う税金」のため、公共・行政サービスは黒字会社も赤字会社も変わらず受けることになり、それは事業の規模に比例することから、所得を計算の基準(課税標準)とせずに、サービスを受ける者が公平に納税するために「事業の規模」(資本金、従業員数、事業所の面積等)を税金の計算根拠としています。

 

外形標準課税の納税義務者

上記のように所得がマイナスの赤字企業であっても支払う義務が生じるということは、事業活動を行っている全ての会社が納税義務者なのでしょうか?

納税義務者は、現行では、「事業年度終了の日における資本金の額または出資金の額が1億円を超えている法人」となっております。

 従って個人事業主や資本金1億円以下の法人は納税義務が生じません。節税のため資本金1億円に減資したいと考える時に大きく関わる税金でもあります。

なお、今後、先進国の他国より日本は法人税率が高いため、今後国際教競争力を高めるために法人税率を引き下げる方向になるかと思われますが、その際には利益や法人税率が関係しない外形標準課税の対象が拡大したり、税率を引き上げられたりする可能性があると言われているため今後の改正に注意が必要です。

 

計算方法

税金の計算は、課税額を算出する根拠となる「課税標準」×「税率」となりますが、外形標準課税の「課税標準」はどの数字を使えばよいのでしょうか。

まずは、付加価値割です。付加価値割の課税標準は「付加価値割額」で表されます。

なお、下記は簡単に考え方を表したものとなりますので、詳細は各地方自治体のHPをご参照ください。

 

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(※上記は愛知県税務課の付加価値割の仕組み(外形標準課税)を参照しています。)

 

続いて「資本割」です。

資本割の課税標準は「資本金等の額」になります。

資本金等の額とは、基本的には「資本金」+「資本準備金」ですが、合併や分割、自己株の取得、資本金の払い戻しなどそれぞれの会社によって数字が異なるため、顧問税理士に確認してみてください。

消費税の簡易課税制度

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会社を経営していると、様々な税金について考えなければなりません。

 

法人税は利益の何%?

消費税は納めるの?

法人にも住民税がかかるの?

事業税と法人税は別なの?

赤字なのに税金取られるの?

事業所税って何?

年末調整?

自動車税、固定資産税、不動産取得税? etc.

 

 上記のように考え出したらキリがないくらい税金があり、難解なものも多いため全てを把握することは大変困難となっています。

把握自体が大変困難であるにも関わらず、税金の計算方法について細かく有利選択等ができる場合も多く、知らず知らずの内に本来納めなくてもよかった分まで納めてしまったケースも多くあったりします。


当ブログでは、このような「この情報は知らなかった!」というケースを少しでも減らすために「節税」をテーマにした内容も掲載していきます。

 

今回は消費税の簡易課税制度についてまとめます。

 

 

消費税の計算方法(原則)

消費税の計算方法は原則、簡単に表すと、

「売上時に預かった消費税△仕入時に支払った消費税=納付する消費税額」

となっています。

 

例えば、

・年間売上額3,000万円(消費税額240万円)

・年間仕入額1,000万円(消費税額80万円)

・年間人件費1,500万円(消費税額0万円)

上記の場合だと消費税の年間納税額は160万円(240万円△80万円)となります。

単純計算ですが、これが原則の計算方法です。

 

消費税の簡易課税制度

では、節税に使えるかもしれない簡易課税制度とはどのような計算方法になるのでしょうか。

上記と同じ条件(年間売上3,000万円・年間仕入1,000万円・年間人件費1,500万円)の場合、事業の業態により異なりますが、年間の納税額が下記のようになります。

 

(計算方法)

売上時に預かった消費税△(売上時に預かった消費税×みなし仕入率)=納付する消費税額

 

(納税額)

・卸売業(第1種事業):216万円(240万円×90%)

・小売業(第2種事業):192万円(240万円×80%)

・製造業等(第3種事業):168万円(240万円×70%)

・飲食店業等(第4種事業):144万円(240万円×60%)

・サービス業等(第5種事業):120万円(240万円×50%)

・不動産業(第6種事業):96万円(240万円×40%)

(※みなし仕入率は事業の業態により異なります。)

 

上記のように、第1~3種事業(卸売業・小売業・製造業等)については原則計算の方が納付額が少ないため、簡易課税制度を選択する必要はありませんが、第4~6種事業(飲食店業等・サービス業等・不動産業)については簡易課税制度の方が納付額が少なくなるため、簡易課税制度を選択した方が良いということになります。

 

なお、事業区分の判定については国税庁のHP:簡易課税の事業区分について(フローチャート)|国税庁をご参考下さい。

 

簡易課税制度選択の条件

簡易課税制度を選択するためには下記の条件を満たしていることが必要となります。

 

(簡易課税制度選択の条件)

・基準期間(前々年もしくは前々事業年度)の課税売上高が5,000万円以下

簡易課税制度選択届出書を期限までに提出していること

 

簡易課税制度は中小企業の事務負担を考慮するために設けられている制度のため、売上額の制限があります。年間の売上額が5,000万円以下の企業は、一定期間毎に必ず原則計算と簡易課税制度のどちらが有利か必ず判定した方がよいでしょう。

 

なお、年間の売上額が5,000万円超を超える見込みであっても、設立1年目と2年目は売上制限がかからないため、必ず検討することをオススメします。設立1年目の場合は、最初の事業年度最終日までに届出書を提出すればよいので、1年間の見込みが決まった頃に検討して提出すれば適用を受けることができます。

 

簡易課税制度適用の注意点

注意点としては、簡易課税制度を一度適用してしまうと、2年間は継続適用をしなければならないため、1年目は得したけど、2年目は逆に損して通算して原則計算の方が納税額が少なかったのに…となってしまったら元も子もありません。

簡易課税制度を選択する際には、必ず2年間分を検討して納税額のメリット、事務負担のメリットを考えてから届出書を提出するようにしましょう。

年末調整で提出し忘れた場合の確定申告(生命保険料控除)

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「年末調整の書類を会社に提出し忘れた!?」とか「年末調整で提出すべき資料とは知らなかった…」などの理由で年末調整で控除の申告漏れが発生していた場合、諦めていませんか?

 

ここでは、年末調整で漏れたから「今年はもうこのままでいいや~。」と思うケースと、「確定申告でその分を申告しよう!」というケースでいくら税金が変わってくるか具体的な金額で見ていきます。

 

 

年末調整で提出が漏れそうな書類

会社勤めの方が会社で行う年末調整時に提出する書類として下記が挙げられます。

 

・生命保険料控除証明書(生命保険料分・介護医療保険料分・個人年金保険料分)

地震保険料控除

・住宅借入金等特別控除

社会保険料控除(主には国民健康保険料・国民年金など)

・小規模企業共済等掛金控除

・前職の源泉徴収票 など

 

この中でも今回は生命保険料控除証明書(生命保険料分・介護医療保険料分・個人年金保険料分)に焦点を当ててまとめます。

 

 生命保険料控除とは…

生命保険料控除とは、納税者が生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に、一定の金額を年間の「所得額」から控除できる制度です。

 

加入している生命保険料等は全部年末調整の対象?

具体的な対象は、国税庁のHP(https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1141.htm)に記載がありますが、分かりやすくいえば保険会社などから「保険料控除証明書」が届けばそれは年末調整、確定申告の対象になります。

 

申告した場合にはいくら還付される?

年末調整は漏れてしまったけど、「難しそうだな」、「面倒くさいな」、「どうせ大して変わらないんでしょ?」と思っている人もまずは下記計算式で実際計算してみて、申告するかしないかを決めてみてはいかがでしょうか。

 

計算式

まず、前提として、生命保険料控除の適用最大限度額は12万円で、生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料がそれぞれ4万円ずつとなります。

 

【控除金額】

・年間支払保険料が2万円以下の場合

→支払った額の全額

 

・年間支払保険料が2万円超4万円以下の場合

→支払った額×1/2+1万円

 

・年間支払保険料が4万円超8万円以下の場合

→支払った額×1/4+2万円

 

・年間支払保険料が8万円超の場合

→ 一律4万円

 

となってそれぞれ年間8万円を超えて支払っている場合は3種とも4万円が適用されて12万円の控除が受けられる仕組みとなっています。

 

(※平成23年12月31日以前に締結した保険契約の場合は、「生命保険料・介護医療保険料」と「個人年金保険料」の2種で各5万円までの控除となり、最大10万円の控除となります。)

 

税金にするといくら還付される?

では、具体的な控除額はいくらになるか計算してみます。

今回、計算しやすいように最大適用の12万円を所得から控除することとします。あくまでも生命保険料控除は「所得」から控除されることに注意して下さい。

 

なお、具体的な金額は個人によって異なってしまうので、具体的な金額は下記方法で計算してみて下さい。

 

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 【所得税

下記の①~⑦の内、該当する所得金額から計算式を選び、計算式の「課税される所得金額」から12万円を引いてから税率を掛けた金額が具体例な所得税の還付金額となります。

 

※ただし、生命保険料控除額を引いた後の所得金額で①~⑦の区分が判定されるため、控除後の所得から①~⑦の税率を選択して下さい。もし、税率が変わるのであれば生命保険料控除以上に税金が還付されることになります。

 

※「課税される所得金額」とは、源泉徴収票に載っている「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を差し引いた金額です。

 

①課税される所得金額が195万円以下の場合

「課税される所得金額」×税率5%=所得税

 

②課税される所得金額が195万円超330万円以下の場合

「課税される所得金額」×税率10%-97,500円=所得税

 

③課税される所得金額が330万円超695万円以下の場合

「課税される所得金額」×税率20%-427,500円=所得税

 

④課税される所得金額が695万円超900万円以下の場合

「課税される所得金額」×税率23%-636,000円=所得税

 

⑤課税される所得金額が900万円超1,800万円以下の場合

「課税される所得金額」×税率33%-1,536,000円=所得税

 

⑥課税される所得金額が1,800万円超4,000万円以下の場合

「課税される所得金額」×税率40%-2,796,000円=所得税

 

⑦課税される所得金額が4,000万円超の場合

「課税される所得金額」×税率45%-4,796,000円=所得税

 

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また上記から算出される税金にプラスして住民税も安くなるので、その分のメリットも考慮して下さい。

 

【住民税】

金額としては、住民税の生命保険料の控除限度額は12万円ではなく7万円のため、所得から計算する部分が一律10%から、生命保険料控除額が7万円であれば7千円が翌年の税額から減額されます。

 

 【合計額】

よって、確定申告で最大限度額12万円を申告する場合には、税率が10%部分に該当すれば所得税12,000円、住民税7,000円の合計19,000円が還付・減額されます。

 

この金額が大きいか少ないかは個人の判断ですが、あとから「こんなに税金変わるんだ!?」とならないようにこの計算だけはしてみてはいかがでしょうか。

 

そして、何よりこの計算・確定申告の手続きは思いの外、時間・労力がかかるので、一度経験することで、来年からの年末調整提出漏れ防止にも繋がるかもしれません。

確定申告で医療費控除ってどうやるの?

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今年も確定申告の時期がやって参りました。

 

私は「一般サラリーマンで年末調整やっているから関係ないよ」と言っている方々が大半かもしれませんが、中には申告したら「税金の一部が戻ってくる!?」、「来年の住民税が安くなる!?」可能性があるかもしれませんので、関係ないと思っている方も税金が安くなる対象ではないか、今一度確認してみて下さい。

 

今回はその中でも医療費控除についてまとめてみようと思います。

 

 

確定申告が義務付けされている方

個人事業主の方

・家賃収入など給与所得・退職所得以外の所得が20万円以上ある方

・2,000万円以上の給与収入がある方

・2カ所以上から給与の収入を受けている人で主たる給与以外(乙欄)の給与の収入金額と、給与所得・退職所得以外の所得との合計額が20万円以上ある方 など

 

上記の方々は確定申告をしなければならない方々の主な例ですが、やはりサラリーマンであれば、大半の方が関係ありません。

 

 従って、サラリーマンには必須の年末調整にどうしても重点が置かれ、確定申告の重要性について疎かになってしまうものです。

 

医療費控除とは…

医療費控除とは1月1日から12月31日までにかかった医療費について、一定以上の金額がかかった場合、その一部を所得から控除できる制度です。要するに所得税と住民税が安くなるということです。

 

この制度、どんなに医療費がかかったとしても、誰かが教えてくれたり、やってくれるものではありませんので、自分で管理して申告しなければなりません。

 

この時点で「面倒くさい…」、「難しそう…」となりがちですが、そんなに大変なものではなく、結構な金額に繋がるので是非、対象になる方は必ずこの制度を利用するべきです。

 

特に、その年に出産や入院、手術した場合には、控除対象になる場合が多いです。

 

確定申告の対象になるのは年間医療費いくら以上?

その年の1月1日から12月31日までの間に実際に支払った医療費の金額の総額が税込10万円以上かかった場合に対象となります。

 

※但し、保険会社・健康保険から保険金の給付を受け取った場合には、その給付の目的にかかった金額から差し引きます。(入院・通院の給付金、高額療養費、出産育児一時金など)

 

 扶養家族も含めて計算できる?

 配偶者や子供、両親など扶養家族分もまとめて計算できます。

その上、例えば、共働きで控除対象配偶者ではない配偶者の分も生計を一にしていれば、納税額の大きい方でまとめて申告もできます。有利選択ができるということです。

 

結局、所得税はいくら節税できる?

所得税の金額は下記の計算によって決められています。

 医療費控除は税額の部分ではなく、所得金額より控除ができるため、下記の計算方式の「課税される所得金額」からマイナスされます。

なお、具体的な金額は個人によって異なってしまうので、具体的な金額は下記方法で計算してみて下さい。

 

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①課税される所得金額が195万円以下の場合

「課税される所得金額」×税率5%=所得税

 

②課税される所得金額が195万円超330万円以下の場合

「課税される所得金額」×税率10%-97,500円=所得税

 

③課税される所得金額が330万円超695万円以下の場合

「課税される所得金額」×税率20%-427,500円=所得税

 

④課税される所得金額が695万円超900万円以下の場合

「課税される所得金額」×税率23%-636,000円=所得税

 

⑤課税される所得金額が900万円超1,800万円以下の場合

「課税される所得金額」×税率33%-1,536,000円=所得税

 

⑥課税される所得金額が1,800万円超4,000万円以下の場合

「課税される所得金額」×税率40%-2,796,000円=所得税

 

⑦課税される所得金額が4,000万円超の場合

「課税される所得金額」×税率45%-4,796,000円=所得税

 

※「課税される所得金額」とは、源泉徴収票に載っている「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を差し引いた金額です。

 

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また上記から算出される税金にプラスして住民税も安くなるので、その分のメリットも考慮して下さい。

 

金額としては、住民税の所得から計算する部分は一律10%なので、医療費控除額が20万円であれば、2万円減税されます。

 

医療費は全部が計算対象??

医療費控除の中では、ここが一番難しいかもしれません。

医療費が税込10万円以上が対象となりますが、何でも対象に含めていいわけではなく、あくまで治療目的のものが対象でその範囲は国税庁のHPを参照してみて下さい。

 なお、美容目的や予防・健康維持のためのものは医師が治療目的と認めるもの以外は控除対象となります。

 

領収書は必要?

平成29年分の確定申告より「医療費控除の明細書」を作成・提出すれば、領収書の提出は不要となりました。

しかし、提出が不要なだけで、5年間は領収書の保管が必要なため自宅に保管はしておきましょう。

 

昨年以前に医療費控除できたのに… 

医療費控除は遡って5年前のものまで申告できますので、対象になりそうな方は一度確認してみるといいかもしれません。

 

LAN設備の固定資産計上ってどうやるの?

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多くの会社で事務所を新設・増設する際に、必要になる固定資産で建物・建物附属設備・構築物・工具器具備品と多くあるが、その中で工具器具備品のLAN設備についてまとめてみます。

 

 

国税庁のHPより

国税庁のHPを確認すると、平成14年2月15日付より、従前の耐用年数通達2-7-6の2《LAN設備の耐用年数》が廃止と、記載がありました。

 

従前の、とは具体的にどのようなものかというと、

 

「法人が、いわゆるLAN設備について、同時に一括して取得及び更新が行われるものとして、これを構成する個々の減価償却資産の全体を一の減価償却資産として6年の耐用年数により償却費の計算を行っている場合には、これを認める。」

 

といった内容であり、平たくいうと「LAN設備をまとめて取得した場合は、まとめて6年の耐用年数で一括計上」とのことでした。

 

しかし、この内容は上記に記載したように、平成14年2月15日付で廃止されたため、6年で一括計上は認められなくなりました。

 

(参考:国税庁HP)

LAN設備の耐用年数の取扱いに関する質疑応答|法人税関係|国税庁

  

なぜ一括計上(耐用年数6年)は廃止されたのか

PCが大量に普及された現在の状況を踏まえると、LAN設備の取得や更新を一括で行うことが考えにくく、PCの利用台数の増加や一部ハブやケーブルの故障など必要に応じて「その都度取得」、「その都度部品交換・更新」を行っている現状があります。

 

そのことから、全体で一の資産として一括計上することは実態とかけ離れてしまっているため、一括計上は廃止されて個々に計上することとなりました。

 

現在はどうやって資産計上するの?

現在は、LAN設備工事をまとめて一括計上(耐用年数6年)で計上するのではなく、1つ1つ資産計上することになります。

 

耐用年数は、下記のようになります。

 

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ハブ・ルーター・リピーター・LANボード

→10年(「器具及び備品」「事務機器及び通信機器」「電話設備その他の通信機器」「その他のもの」)

 

ツイストペアケーブル、同軸ケーブル

→18年(「建物附属設備」「前掲のもの以外のもの及び前掲の区分によらないもの」「主として金属製のもの」)

 

(参考:国税庁HP)

LAN設備の耐用年数の取扱いに関する質疑応答|法人税関係|国税庁

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 具体例

具体例として、下記のような場合はどのような計上になるのでしょうか。

 

・TP(ツイストペア)ケーブル 400,000円

・ハブ(1台) 200,000円

ルーター(1台) 200,000円

・諸経費 600,000円

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合計 1,400,000円

 

上記の場合には、結論から言うと、私ならば下記のように固定資産登録をします。

 

①LAN配線設備:700,000円(建物附属設備・18年)

②LAN機器:700,000円(器具及び備品・10年)

 

具体例なので簡単に書きましたが、実際はもっと複雑な明細から資産計上か費用計上かを判断していくことになります。

 

しかし基本的には、LAN工事であれば「LAN配線設備18年」と「LAN機器10年」を基本に処理をすれば自然とゴールも見えてくるかと思います。