税金・年金・社会保険まとめ

税金・年金・社会保険まとめ

税金・年金・社会保険のお金にまつわる部分について情報が多すぎて知らないことが多過ぎる上、誰も教えてくれません。「重要情報を逃さない」、「損しない」ためにも大事な情報を自分なりにまとめてみます。

個人の方に報酬を支払う際に差し引く源泉徴収

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個人の方に講演や原稿執筆を依頼した場合に対価として支払う報酬については源泉徴収を差し引かなければなりません。

この源泉徴収を差し引いてその差し引いた税金部分を期日までに納税しないと加算税・延滞税を課されることになるので注意が必要です。

この源泉徴収制度については、税額の計算自体は難しくないのですが源泉徴収すべき対象者かどうかの判断が難しいので、下記にまとめてみます。

なお、このページでは給与として支払われる分は除き、業務委託や外注として発生する報酬部分のみの記述とします。

 

 

源泉徴収の対象者

報酬が発生した場合に源泉徴収が必要になるのは個人に支払う報酬のみであるため、法人の場合には考える必要がありません。

では、個人相手に報酬を支払う場合には全て源泉徴収して支払いすべきであるかというと、そうではありません。個人の中にも相手や報酬の内容によってその都度判断が必要になります。

では、どのような個人の場合に源泉徴収が必要になるのでしょうか。

一般的には国税庁のHPに掲載されている「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」でまとめられています。

しかし、ここに載っているものは「○○など」と記載されているため代表的なもののみの例示列挙であって限定列挙ではありません。例えばカメラマンへの報酬やデザイン料、講師料、出演料など様々なケースがあります。

上記のように個人に報酬を支払う場合には国税庁のHP具体的に掲載されていない場合でも源泉徴収しなければならない場合がありますので、個人相手に報酬・料金等を支払う場合には必ず手を止めて源泉徴収が必要か確認しましょう。

 

請求書には徴収すべき源泉税額が記載されていないことの方が多い 

なお、請求書処理をしていると「源泉税額○○円を差し引いて払って下さい」と記載されている請求書を見ることがあるかと思いますが、この場合は対象者か念のため確認するくらいでよいので助かるのですが、このように丁寧に記載されている請求書の方が稀です。ほとんど税理士や社労士、司法書士などの士業の方々ばかりです。

講演や原稿などの報酬に関する個人の方からの請求書には基本的に源泉徴収が記載されていないので、自身で「対象者かどうか」、「いくら差し引くか」を確認しましょう。

どの会社も個人に対する報酬の支払いがある場合には必ず悩む部分なので、税理士はこの点についてかなり経験が豊富なため悩んだら相談してみましょう。

但し、個人の方は源泉徴収などは気にしない、知らない場合も少なからずあるので実際に報酬を支払う前に事前に法律で決まっているので差し引く旨の連絡をしておいた方がトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

 

源泉徴収税額の計算

対象者の判断は難しいかもしれませんが、税額の計算は比較的に簡単です。

 

①税抜報酬額が100万円以下の場合

源泉徴収税額=税抜報酬額×10.21%

 

②税抜報酬額が100万円を超える場合は下記の合算金額

(100万円までの部分)

100万円×10.21%

(100万円を超えた部分)

その超えた金額×20.42%

 

②の計算例

(例.税抜報酬額が150万円の場合)

(150万円-100万円)×20.42%+102,100円=204,200円

 

上記のように100万円を越えた場合にその越えた部分の税率に注意すればよいだけなので、そこまで難しくはないかと思います。

 

1点だけ注意が必要だとすれば、上記の計算により消費税の端数が生じた場合には、税金部分が切捨になりますので、その点注意が必要です。

 

また、司法書士等への支払いの場合には、税抜報酬額から1万円差し引いた上で計算することになっています。

(参考:司法書士等に支払う報酬・料金)

 

報酬額の金額に注意

ただし、税率は2種類しかないので簡単かもしれませんがその税率を乗じる報酬額の集計には注意が必要です。ただ単純に報酬部分に税率をかければいいわけではないためです。

例えば、遠方で講演をしてもらう場合にかかる交通費や食事、宿泊代などの費用や原稿執筆のためにかかる取材費やそのための消耗品購入などの諸費用もその報酬額に含めなければならないケースがあります。

基本的に領収書など根拠がある実費部分のみを個人の方にお支払いする場合には、支払内容が報酬ではないことから源泉徴収をしなくてよいですが、「大体これくらいだろう」と車代で3万円、取材料で5万円など実際にかかった金額ではなく色をつけて渡す場合は報酬の一部としてとらえられてしまうので、源泉徴収の対象となってしまいます。

請求書には報酬部分と明確に分けられていたとしても実費部分ではないものを支払う前には源泉徴収が必要かどうか検討が必要です。